よめさま話
しなんたのおよめさん
野崎幸子さんのお話
- 今日はどうぞよろしくおねがいします。
- なんなりと(笑)。
- ではまずお名前から伺えますか。
- 野崎幸子です。
- ご出身はどちらですか。
- 穴水です。
昭和50年にお嫁に来ました。 - どういったご縁で。
- お見合いです。おじの仲人で。
わたしのおじが隣の地区にお婿に来とって、
うちのばあちゃんが
「どっかにいい嫁さんおらんかいね」
って言ったら、おばが、
「わたしの姪っ子がいま金沢で働いとるよ」って。 - 金沢で働いてらしたんですか。
- 病院の薬局で。薬剤師なんです。
2年しかおらなんだけどね。 - いまは?
- いまは調剤薬局で。
その前はお店しとったんやけど。 - いまも働いてらっしゃるんですね。
- 能登地区は人材不足でなかなか辞められないんですよ。
週休二日で働いてます。歳いったらちょっとキツイけどね。 - おいくつのときにお嫁に来られたんですか。
- 24です。
- 結婚式はご自宅で?
- ちょうどできたばかりの文化ホールで。
昔は文化福祉会館と言ってました。
生活改善で結婚式が式場に変わりはじめた頃で、
まだ数組目でしたね。 - 披露宴では嫁ほめ詞もありましたか。
- なかったね。
結局、結婚式を家でしないようになって、
嫁ほめ詞も廃れていったんでしょうね。
隣の舘開(たちひらき)地区では、
最近また復活していますが。
その嫁ほめ詞のめでたさにあやかって、
義母とその年代の5~6人で
かぶらずしを作りかかってんね。
でも、その人たちが歳とってきたもんで、
わたしたちの世代でやりましょうと。 - 伝承のレシピはあるんですか。
- あるんです。
あるんですけど、どこいったかわからん(笑)。
たぶんパソコンのどっかに入っとるけども、
行方不明(笑)。 - ではもしかしたら味は、
ちょっとずつ変わっているでしょうか。 - 微妙には変わっとるかもしれんね。
糀がけっこう発酵しとるもんで、
「糀がやわらかくておいしい」
ってみなさん言ってくれますね。
お店のやと糀が固いままでしょ。
炊きたてのあったかいごはんと混ぜて
もう一回発酵させるんです。そうすると、
糀の甘みも増すし、旨味も出るし、やわらかさも出る。
そのかわり日持ちしなくなるんです、水分が多いから。 - それはこの辺独特のかぶらずしなんですか。
- そうじゃないかと思いますねえ。
たぶんこの辺のが一番やわらかいと思うよ。
かぶらもそうですし、特に糀が。 - 糀の量も多いですよね。
- 糀をたくさん入れるから
糀の甘さを吸っておいしくなるの。
でも、糀の量がふつうより多いから、
なかなか儲からないの(笑)。 - 糀はどうやって食べるんですか。
- わたしは糀が好きやからかぶらに多めにのせて、
あと、糀だけで食べたりね。
糀もしなんたのお米で作ってもらっているから、
魚と塩以外は全部自家製。
かぶらもここの土地が合ってるらしくって、
やっぱりやわらかさとかおいしさとかがちがう
って言われるのね。
高浜のお友だちにもレシピあげたんやけど、
同じように作ってもやっぱりかぶらがちがうからダメやって。 - そんな近くでも。
- 高浜は砂地やから乾燥するしね。
この辺はどっちかっちゅうたら
泥っていうか粘土質やからね。