よめさま話

しなんたのおよめさん
野崎幸子さんのお話

今日はどうぞよろしくおねがいします。
なんなりと(笑)。
ではまずお名前から伺えますか。
野崎幸子です。
ご出身はどちらですか。
穴水です。
昭和50年にお嫁に来ました。
どういったご縁で。
お見合いです。おじの仲人で。
わたしのおじが隣の地区にお婿に来とって、
うちのばあちゃんが
「どっかにいい嫁さんおらんかいね」
って言ったら、おばが、
「わたしの姪っ子がいま金沢で働いとるよ」って。
金沢で働いてらしたんですか。
病院の薬局で。薬剤師なんです。
2年しかおらなんだけどね。
いまは?
いまは調剤薬局で。
その前はお店しとったんやけど。
いまも働いてらっしゃるんですね。
能登地区は人材不足でなかなか辞められないんですよ。
週休二日で働いてます。歳いったらちょっとキツイけどね。
おいくつのときにお嫁に来られたんですか。
24です。
結婚式はご自宅で?
ちょうどできたばかりの文化ホールで。
昔は文化福祉会館と言ってました。
生活改善で結婚式が式場に変わりはじめた頃で、
まだ数組目でしたね。
披露宴では嫁ほめ詞もありましたか。
なかったね。
結局、結婚式を家でしないようになって、
嫁ほめ詞も廃れていったんでしょうね。
隣の舘開(たちひらき)地区では、
最近また復活していますが。
その嫁ほめ詞のめでたさにあやかって、
義母とその年代の5~6人で
かぶらずしを作りかかってんね。
でも、その人たちが歳とってきたもんで、
わたしたちの世代でやりましょうと。
伝承のレシピはあるんですか。
あるんです。
あるんですけど、どこいったかわからん(笑)。
たぶんパソコンのどっかに入っとるけども、
行方不明(笑)。
ではもしかしたら味は、
 ちょっとずつ変わっているでしょうか。
微妙には変わっとるかもしれんね。
糀がけっこう発酵しとるもんで、
「糀がやわらかくておいしい」
ってみなさん言ってくれますね。
お店のやと糀が固いままでしょ。
炊きたてのあったかいごはんと混ぜて
もう一回発酵させるんです。そうすると、
糀の甘みも増すし、旨味も出るし、やわらかさも出る。
そのかわり日持ちしなくなるんです、水分が多いから。
それはこの辺独特のかぶらずしなんですか。
そうじゃないかと思いますねえ。
たぶんこの辺のが一番やわらかいと思うよ。
かぶらもそうですし、特に糀が。
糀の量も多いですよね。
糀をたくさん入れるから
糀の甘さを吸っておいしくなるの。
でも、糀の量がふつうより多いから、
なかなか儲からないの(笑)。
糀はどうやって食べるんですか。
わたしは糀が好きやからかぶらに多めにのせて、
あと、糀だけで食べたりね。
糀もしなんたのお米で作ってもらっているから、
魚と塩以外は全部自家製。
かぶらもここの土地が合ってるらしくって、
やっぱりやわらかさとかおいしさとかがちがう
って言われるのね。
高浜のお友だちにもレシピあげたんやけど、
同じように作ってもやっぱりかぶらがちがうからダメやって。
そんな近くでも。
高浜は砂地やから乾燥するしね。
この辺はどっちかっちゅうたら
泥っていうか粘土質やからね。
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